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「アナタ、私に何を望んでいるの?」


思い立ったから、訊いてみた。
目の前で彼は床に胡座をかいて座りこみ、プラモデルに色をつけている真っ最中で。
細い筆を持って、左手にプラスチックか何かのロボットを握ったまま彼は私を見た。
ぽかんと口を開けて、瞬きもしない大きな片目が私を見上げる。
まったく、その顔のかわいくないったら。
まずはその間抜け面をどうにかなさいな!


「えーとね」


彼はほんの暫く視線を彷徨わせた後に手の内の物体を見つめて少しだけ黙りこむ。


「えーと、つまり」


今細かい作業中だから後にしてくれないかい、と宣う彼に


「今聞きたいのよ」


私はほんの少し意地悪をした。
彼は無言で筆を動かし始める。


「今、聞きたいのよ」


私は繰り返す。
それは真実で、意地悪。
その裏で私は彼がご主人様に話していた事を思い出す。
彼女にもう少し優しくしておあげよ、と。
彼が大人ぶった表情でご主人様に話していたのを、彼は私が知らないと思っている。
休まらない右手を見つめて私は瞬きを繰り返した。


「アナタは、」
「僕はねぇ」


私の言葉を遮って彼が話し出す。
筆をパレットに立て掛け、プラモデルを床に立てて、彼は体ごと私の方を向いた。
相変わらず胡座で私を見上げる。
座らない私もどうかと思うけど、アナタの体勢はもっとどうかと思うわ。
けれどそれは言わないでおいた。


「僕はキミが好きだよ」


キミは僕が嫌いだろうけどね、と。
彼は普段のニヤニヤ笑いでなく静かに微笑みながらそう続けた。
この人は(ヒトかどうか知らないけれど)、私が見てもあんまり子どもっぽいくせ
に時々こうして大人ぶるんだわ。
ご主人様がするような笑い方をされると居心地が悪い。
だから私は彼が好きだけれどそれは教えてあげないことにしている。


「ユーリは意地が悪いからねぇ」


彼は自分の髪を手で梳きながら言った。
どこを見ているのよ、目を見て話なさいと習わなかったの。


「そんなことはないわ」
「そう?」


そうよ、と私は返す。
彼は飄々として相変わらず笑っている。
何故そんな事を言うのか私にはわからない。
ご主人様はあんなに優しくて素敵な方なのに。
それとも、彼には意地悪をするのかしら。
少なくとも私はご主人様に意地悪をされたことなんてないわ。


「とにかく、キミはキミのままでいればいいと思うよ」
「私は私でしかいないわ」
「うん、だから、それでいいじゃない」


彼は不思議な事を言って、また筆に手を伸ばした。
いろんな角度からプラモデルを見つめて、慎重に色を塗り始める。
こうなったらきっと彼は振り返らない。
私は返事をくれなくなった背中に声をかけるのを諦める。
くるりと背中を向けて歩き出すと夕方のアニメで流れる歌が後ろから聞こえてきた。
その歌がうまいものだから、少し腹が立つ。

さて、ご主人様がお帰りになる前にお掃除を終わらせなくてはならない。
そうだわ、庭園から百合を取ってきて食卓に飾りましょう。


ああ、まったく、忙しいこと。





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GRISEの雨音沙姫さんから頂きました・・・!!最高に癒されるスマリリ小説!!!
スマイルが!!スマイルが!!!(落ち着け!)何気ない動作がどうしてこんなに色っぽいの?惚れるだろうが////
リリィもアリスみたいに可愛くって・・・まさに僕好みな女の子で・・・つまり・・・
こういうセンスの漫画が描きたかったんだッ!無理だ!愛してる!!!!
なんて可愛い二人なの。仲が良いんだか悪いんだかわかんない。でもスマイルはリリィが好きだよ。
お城の中でこんな日常のやり取りがあったなら、なんて微笑ましいだろう!
そして切ない。感激するしかない!
生きてきた意味がここにあった。(*T∀T*)本当にありがとうございました!!!